遺産分割協議書を作らないとどうなる?|足利市の司法書士事務所

はじめに
相続が発生したとき、「遺産分割協議書って本当に必要なの?」と疑問に思う方は少なくありません。実際、書面を作らずに話し合いだけで済ませてしまうケースもあります。しかし結論から言うと、遺産分割協議書を作らないまま相続手続きを進めることには大きなリスクがあります。本記事では、遺産分割協議書を作らないとどうなるのか、具体的なデメリットやトラブル事例、正しい作成方法まで詳しく解説します。
結論:協議書がないと手続きが進まない・トラブルになる
遺産分割協議書を作らない場合、不動産の名義変更ができない、預貯金の解約ができない、内容を証明できない、相続人同士のトラブルが起きやすいといった問題点があげられます。つまり、実務上ほとんどの相続手続きが止まる可能性があります。
遺産分割協議書とは何か
遺産分割協議書とは、相続人全員で「誰が何を相続するか」を合意した内容を記載した書面です。主な役割としては、相続内容の証明や手続きに必要な書類、トラブル防止などがあります。
遺産分割協議書を作らないと起こる問題
不動産の名義変更(相続登記)ができない
不動産を相続する場合、誰が取得するかを証明する書類が必要です。協議書がないと、法務局で登記が受理されませんので名義変更ができません。その結果として、売却・活用ができないことになります。
預貯金の解約・払戻しができない
銀行は厳格に確認を行うため、相続人全員の同意、書面による証明が必要です。協議書がないと、 口座が凍結されたまま動かせません
相続内容を証明できない
口約束だけでは、「そんな約束していない」「後から取り分を主張」といった争いが発生します。
相続トラブルに発展する
協議書がないと、認識のズレや記憶違い、感情的対立が起こりやすくなります。
税務上の問題が発生する
相続税申告では、分割内容の明確化が必要です。協議書がないと、特例が使えない、税負担が増える可能性があります。
協議書が不要なケースはある?
相続人が1人の場合には、分割する必要がないので不要です。また、遺言書がある場合も原則として、協議書は不要になります。そして、法定相続分どおりに分ける場合にも、不要になることがあり得ますが、書面を求められることがあるため注意が必要です。
実務でよくあるトラブル事例
兄が家を相続することで口頭合意し、数年後に妹が「やっぱり納得できない」と主張し裁判に発展するなどが考えられますし、代表者が一旦預金を引き出し、分配せずトラブルになり返還請求へ発展することもあり得ます。また、協議書を作らず放置したことにより、次の相続が発生し、手続きが複雑化(数次相続)することもあります。
遺産分割協議書の正しい作成方法
相続人の確定
戸籍収集をし、相続人全員を確定します(関連記事:知らない相続人がいた場合の対処)
遺産の調査
不動産や預貯金、株式などの相続財産を調査します。
分割内容の決定
誰が何を相続するか決定します(関連記事:遺産分割協議がまとまらない場合)
書面作成
遺産分割協議の内容を文書化します。
署名・押印
相続人全員での署名と実印で押印をします(印鑑証明書添付)。
作成時の注意点
相続人全員の参加が必要となりますので、1人でも欠けると無効となります。また、内容は具体的に書く必要がありますので、不動産の表示や金額など正確に記載しましょう。曖昧だとトラブルの原因となります。また、押印は実印でする必要があり認印ではNGです。
自分で作れる?専門家に依頼すべき?
相続人が少ない場合や、内容がシンプルであれば自分で作成することもできますが、不動産があったり、相続人が多い、トラブルの可能性ある場合などは、ミスすると手続きがやり直しになるため、専門家に依頼することをおすすめします。
よくある質問
Q. 書面がなくても話し合いで十分では?
証明できないため危険です。
Q. 後から作ってもいい?
可能ですが、トラブル発生後では遅い場合もあります。
Q. 手書きでも有効?
有効ですが、内容の正確性が重要です。
早めに作成すべき理由
遺産分割協議書は、手続きをスムーズにする、トラブルを防ぐ、法的に証明できるなど相続の要となる重要な書類です。数次相続などを考え、早めに作成することをおすすめします。
まとめ
遺産分割協議書を作らないと、不動産の名義変更や預貯金の解約などの相続手続きが進まず、後からトラブルになるリスクも高まります。口約束では証明できないため、相続人全員で合意した内容は必ず書面に残すことが重要です。スムーズで安全な相続手続きのためにも、早めに作成しておきましょう。



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