認知症の親の不動産|足利市、佐野市の司法書士事務所
- 亀山英明

- 5月16日
- 読了時間: 5分
親が認知症になり判断能力が低下すると、相続や不動産の管理・売却で多くの問題が発生します。例えば、認知症の親の家を売って施設費用に充てたい、空き家になった親名義の不動産を売却したい、親が認知症になってしまい不動産の手続きが進められないといったものです。結論から言うと、認知症になった本人は原則として不動産を売却することができません。そのため通常は 成年後見制度 を利用して手続きを進めることになります。
この記事では、認知症の親の不動産が売れない理由や成年後見制度とは何か、不動産売却までの具体的な手続き、家庭裁判所の許可が必要なケースについて詳しく解説します。
認知症になると不動産は売却できる?
不動産売却には 本人の意思表示が必要です。しかし認知症などにより判断能力が低下すると、法律上は有効な売買契約を結ぶことができません。もし無理に契約した場合、後から契約が無効または取り消しになる可能性があります。そのため、不動産会社や司法書士は、判断能力がない方の不動産売却には対応できません。また、家族でも勝手に売却できません。よくある誤解として、子どもだから売れるであったり、同居しているから売れる、介護しているから売れるというものがあります。しかし法律上、家族であっても本人の財産を勝手に処分することはできません。そのため認知症の場合は、成年後見制度を利用する必要があります。
成年後見制度とは?
成年後見制度とは、認知症や障害などで判断能力が低下した人を保護する制度です。家庭裁判所が選んだ成年後見人が本人に代わって財産管理や法律行為を行います。成年後見人の役割は、財産管理や預金管理、契約手続き、不動産管理、施設契約などになります。そして必要に応じて、不動産売却も行うことができます(関連記事:後見制度について)。
成年後見人は誰がなる?
成年後見人には配偶者や子ども、親族、司法書士、弁護士、社会福祉士などが選任され、近年はトラブル防止のため専門職後見人(司法書士など)が選任されるケースも増えています。
認知症の親の不動産を売却する流れ
成年後見制度を利用した不動産売却の一般的な流れを説明します。
① 成年後見開始の申立て
まず家庭裁判所に成年後見開始の申立てを行います。申立てできのは、本人や配偶者、子、兄弟姉妹などになります。また、申立て先は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
② 成年後見人の選任
家庭裁判所が審査を行い、成年後見人を選びます。審査では、医師の診断書や財産状況、家族関係などが確認されます。申立てから選任まで約1〜2か月程度かかることが一般的です。
③ 不動産売却の検討
成年後見人が選任されると、本人の財産管理を行います。その中で、施設費用、医療費、生活費などのために不動産売却が必要な場合、売却を検討します。ただし重要なのは本人の利益のための売却であることです。
④ 家庭裁判所の許可
自宅などの重要な不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。これを居住用不動産処分許可といいます。裁判所は、売却の必要性や売却価格、本人の生活状況などを確認します。
⑤ 不動産売却
家庭裁判所の許可が出たら、不動産売却を進めます。流れ(「不動産会社へ依頼→買主募集→売買契約→決済・引渡し」)は通常の売却と同じです。売却代金は、本人の財産として管理されます(関連記事:認知症の親の不動産の売却方法)。
成年後見制度の注意点
成年後見制度は、原則として途中でやめられません。成年後見制度は、本人が亡くなるまで続きます。そのため「不動産売却だけのために利用する」という感覚で申し立てると後悔することがあります。また、自由に財産を使えまえん。成年後見人は、本人の利益のためにしか財産を使えませんので、例えば子どもの生活費や相続対策などの目的では使用できません。そして、家庭裁判所の監督があるので、成年後見人は定期的に家庭裁判所へ報告を行います。そのため財産の使い込みや不正を防ぐ仕組みになっています。
認知症になる前の対策も重要
認知症になる前であれば、次のような制度を利用できます。
家族信託
家族に財産管理を任せる制度です。不動産管理や売却、資産承継などを柔軟に行えます。
任意後見制度
将来判断能力が低下したときのために、あらかじめ後見人を決めておく制度です。
司法書士に相談するメリット
認知症の親の不動産売却では、成年後見申立てや家庭裁判所手続き、不動産売却手続きなど多くの手続きが必要になります。司法書士に相談することで、成年後見申立てサポートであったり不動産登記手続き、不動産売却サポートをまとめて依頼することができます。
まとめ
認知症の親の不動産は、本人の判断能力がない場合、そのままでは売却できません。その場合は、成年後見制度を利用する必要があります。基本的な流れとしては、「成年後見開始の申立て→成年後見人の選任→不動産売却の検討→家庭裁判所の許可→不動産売却」となります。認知症になると財産管理が難しくなるため、早めの対策が重要です。不動産売却や成年後見制度についてお困りの場合は、司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。



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